音楽による英才教育について

3.成熟期

2019年10月31日 16時00分

続いて、音楽家として完成に向かう時期である成熟期です。高等学校の音楽科や音楽大学の受験に向けた部分を主に、ポイントを整理します。
ただ、基本的には前項の「2.少年少女期」に記したアプローチを、そのまま続けるのが土台になります。学校での基礎学力をおろそかにしないこと、コンサートに行くこと、楽曲を研究すること、などです。ここでは、それ以外のポイントに触れていきます。
 
3.⑴専門的な教育・レッスンの場に通うこと
大手楽器メーカーや販売店が展開する音楽教室ではダメです。レッスンのレベルからして、多くの音楽教室では音高・音大受験には不十分なものしかありません。ましてや、音高・音大受験となると、志望校ごとにさまざまな課題や傾向があり、細かい個別指導が必要になります。この点でも、大手音楽教室は対応できません。
したがって、音高・音大受験対策専門の予備校、またはそれに対応できる個人経営の音楽教室でレッスンや勉強を行う必要があります。
 
3.⑵楽典を学ぶ
特に音楽大学の受験に関してですが、「楽典」を学ぶ必要がある場合がほとんどです。
楽典というのは、音楽活動をするうえでの基礎知識といえるものです。「音楽の文法」や「楽譜の文法」とも呼ばれ、楽譜を読み書きするための決まり事、ルールになります。具体的には、音程、音階、演奏記号、旋法、和音、律動、楽式、和声、対位法、楽器法、音名、拍子といった基礎概念・用語を理解し、それを踏まえて記譜法を理解することです。
多くの音大では、実技ばかりでなく学科試験もあり、その学科試験で楽典の問題が出題されます。楽典を出題しない大学もありますが、なにしろ「楽譜の読み書き」ですから、音楽活動をしていくうえでは知っていた方がもちろん有利です。レッスンを続けてきた中で自然と理解してきた部分も多々あるはずですが、一度はまとめて体系的に把握しておいて損はありません。
そのためにすべき方法は、ほぼ一択です。通称「黄本」と呼ばれる『楽典-理論と実習』(音楽之友社)という参考書・問題集を使います。この本だけで必要十分です。練習問題もたくさんありますので、答えを書き込まないようにして2度か3度、繰り返して読み、問題を解き、というステップをクリアすれば完璧です。
この本を使えば独学でも習得可能ですが、できれば誰か、コツやミスしやすいポイントなどをアドバイスしてくれる人がいた方が助かります。音大受験予備校なら授業があるはずですし、個人経営の音楽教室でももちろん、聞けば先生が教えてくれるはずです。
 
3.⑶小論文を書く
音高・音大によっては学科試験の一環として小論文があります。本番で通用する小論文が書けるようになるためには、とにかく書いて、誰かに読んでもらって、書き直して、また読んでもらって……という練習をしないことには話になりません。やはり、音大受験予備校や個人音楽教室で対応してもらいましょう。

■まとめ
音高・音大の受験に向けては、志望校に応じた細かい個別指導が必要です。
大切なのはしっかりした音高・音大受験対策予備校、または実績のある個人音楽教室を選ぶことです。

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